持者 『七十一番職人歌合せ』は、室町時代に、さまざまな職業の人をテーマに和歌を詠み合った和歌集です。その六十一番目に「山伏」と「持者」が出てきます。山伏の歌は、出羽の羽黒山の山伏が紀州の熊野へ修行に入る「峰入り」のときの歌です。
 持者という、山伏のような巫女のような人も、山伏とともに峰入りに来たようです。持者を詠んだ歌が二首あります。

  先達の慙愧懺悔は我やせん いたの目につくむしのしたかな

 意味は、先を行く立派な先達の山伏に代わって私が懺悔をしよう。板に付く虫の舌になっているから。となりますが、板とか虫とかいうのは、つまり女性のことを板といったらしく、板(女)にくっついているナメクジ(虫の舌)のようなものが山伏だという皮肉のようです。

  いかにして気疎く人の思ふらん 我も女のまねかたぞかし

 どうして疎ましく思われるのでしょう。私は女装をしているのです。という意味です。近ごろの山伏は堕落したもので女を連れていると思われるかもしれないが、私は女ではありません、となってオチがつくのでしょうか。
 岩波版「新日本古典文学体系」の注釈によると、持者は女装していたことが多く、鎌倉鶴岡八幡宮の歌合にも持者の歌があるようです。

★追記 地者
小学館『国語大辞典』では、持者は「地者」と書き、「山伏と同じような行者の一種、一節に巫女の一種とも。」と説明。語林集成から「まじないによって悪霊を退散させる巫女」と引用。
『七十一番職人歌合』では山伏とともに熊野に入峯するさまを詠んでいるが、ふだんから共に行動しているわけではないようです。

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